パナメーラGTSで2,000km走って分かった「4ドアスポーツカー」の真実

■ はじめに

北陸から高速道をひたすら北進、青森から青函フェリーで函館へ渡り、帰路はひたすら南進して戻る往復約2,000kmの旅。ポルシェ パナメーラGTSに家族4人を乗せて走り切ったものの、そこにあったのは旅の道具としての厳しさとリアルな現実でした。

■ 家族4人旅で直面した「現実」

走りの基本性能には満足しつつも、長距離を走る旅の道具としては数々の不満とストレスに直面することになりました。

・トランク容量はギリギリ

クーペラインを優先したデザインのため、家族4人分の荷物とお土産を詰め込むとラゲッジスペースは余裕ゼロのパズル作業を強いられます。

・後席の家族からは不満たらたら

ホールド性重視の独立リアシートは「シートバックが立ちすぎ」「寝にくい」と、長時間の移動では家族から不満が噴出。レンジローバースポーツの快楽・快適空間を知っているために手厳しい評価です。

・V8の快音と加速力は「危険要因」

ドライバーを歓喜させるV8ツインターボのサウンドと鋭い加速も、後席の同乗者からすれば単なる「うるさい騒音」であり、合流のためにやや強めにアクセルを踏もうものなら「暴走の恐怖」しか感じないとの悲劇。

・終わっているデジタルUI・ADAS

運転支援(ADAS)の不自然な挙動や、インフォテインメントシステムの応答性の悪さ、Apple Carplayも有線接続のみで、この価格帯のクルマとして明確な落第点。

・燃費はギリギリ10km/L

2,000km走破しての実燃費はなんとかリッター10km。数値自体はV8フル積載としては妥当とは思いますが、高効率なディーゼルエンジンと比べれば寂しい数字。タンク容量が90リッターもあるのでワンタンクで900キロ程度走れ、レンジローバースポーツより給油回数は少ないのがせめてもの救い。

・フェリー乗船リスクは拍子抜け

低い車高ゆえ腹擦りを警戒していた青函フェリーですが、可動橋のスロープは非常に緩やかでノーマル車高でも何のリスクもなくスムーズに乗降可能。事前の不安は単なる取り越し苦労でした。

■ まとめ:ポルシェのGTと、家族のGTの埋まらない溝

「家族4人でストレスなく、最高に快適な2,000kmツーリングをする」という目的において、パナメーラと同価格帯の最高峰ラグジュアリーSUV(メルセデスGLSやGクラス、BMW X7、レンジローバーなど)を選んでおけば、圧倒的な積載性、極上の後席空間、そして家族全員の笑顔が約束されていたのは間違いありません。

もちろん、ポルシェが定義する「グランツーリスモ」が、安楽な移動手段ではなく「サーキットまで自走し、圧倒的な速さで駆け抜けるためのスポーツカー」を指していることは重々承知のうえです。

どれほど4枚のドアやトランクの形を取り繕おうと、パナメーラGTSは「家族で快適に長距離を移動するためのGTカー」ではありませんでした。「これで家族と快適な長距離旅を楽しめるはずだ」と考えたこと自体が、最大の勘違いでした。

快適性を犠牲にして、ただ自分がV8のハイパワースポーツを操りたいがためだけに選んだ一台。家族には申し訳ないと思いつつも、完全に親父のエゴに付き合わせることになってしまいました。

……とはいえ、タイトな後席で文句を言い合い、ギリギリのトランクに知恵をしぼって荷物を詰め込んだ経験も含めて、終わってみればそれも我が家ならではの「最高の思い出」。完璧で快適すぎるSUVを選んでいたのでは味わえなかったかもしれない、記憶に残る2,000kmのグランドツーリングになりました。


コメント