自動車の基本形は3ボックスの「セダン」とはいいますが、私自身は普段からそこまでセダンを特別視しているわけではありません。セダン以外のパッケージングのクルマにもそれぞれの良さがあり、これまでに様々なタイプを乗り継いできました。
とはいえ、自分のクルマライフを振り返ってみると、特定の目的やその時の気分において、セダンを選んだことが3度ありました。普段はセダン至上主義ではない私が、あえて選んだ3台を振り返ります。
1. 日産 セフィーロ(A31型)
1台目は、初代セフィーロ(A31型)です。選んだのは5MTでした。
当時、セダンといえば保守的なイメージが強い時代でしたが、セフィーロはプロジェクターヘッドランプを採用し、RBエンジンを搭載したモダンなFRセダンでした。
思い返せば、スカイライン、ローレル、フェアレディZと、直列6気筒、マニュアルも選べるセダンやクーペがこれだけ当たり前に揃っていた、今思えばとんでもなく贅沢な時代でした。がんばれ日産。
「食う寝る遊ぶ。」のキャッチコピーや、井上陽水さんが「みなさんお元気ですか?」と語りかけるCMが印象的で、実用性のためではなく、ライフスタイルを表現するためにあえて選ぶ楽しさのある車でした。
選んだ塗色は「ブルーイッシュシルバー」で、この不思議な輝きは、今でも印象に残っています。
2. BMW 330i(E46型)
2台目は、BMWのE46型「330i」セダンです。
クルマ関連で知り合ったズッ友が、当時、E46を選んだことに感化されたのが、この車に目を向けたきっかけでした。あえて4ドアセダンを選んだのは、BMW=3セダンの記号性と、家族構成もあって日常の使い勝手を両立した結果です。
このE46では、当初はマニュアル(MT)を、その後は当時まだ出始めの過渡期であったデュアルクラッチのセミオートマチック(SMG)へと乗り継ぎました。
ダイレクトにギヤを繋ぐマニュアルの操る楽しさはもちろんですが、黎明期のセミオートマが持つ独特のシフトフィールや、M54型3.0L直列6気筒エンジンの重厚な吹け上がりは非常に印象深く、絶妙な前後重量配分と相まって、グランドツアラーとしての実力を思い知らされた1台です。
3. ポルシェ パナメーラGTS
3台目は、ポルシェ・パナメーラGTSです。正確には5ドアハッチバックですが。
ポルシェが作った4ドアサルーンであり、現在の私にとってひとつの回帰点と言えます。この車を選んだ背景には、先述の友人がポルシェの992.2型GTSカブリオレを選んだことも、少なからず影響しているかもしれません。
E46当時の荒削りながらダイレクトだったセミオートマから、長い月日を経て、パナメーラに搭載されるデュアルクラッチ(PDK)へと乗り継いだことになります。その進化の幅は凄まじく、当時のカックンシフトは今いずこ? 的なスムーズさとレスポンスの良さに驚いています。
さらには、パナメーラGTSはスポーツカーとしてのポテンシャルを有しながらも、キャビンは極めて上質で静粛な空間に仕上げられています。V8ツインターボの動力性能と、高速道路を巡航する際の圧倒的なフラット感に、期待が高まらずにはいられません。
ボディカラーは「ドロマイトシルバーメタリック」です。光の当たり方によってかすかに青みを帯びるこの硬質なシルバーに触れたとき、かつてのセフィーロの「ブルーイッシュシルバー」の記憶と、確かな親和性を感じました。あの頃に良いと思ったセダンの佇まいが、時を経て、現代のグランドツアラーへと繋がったような感覚があります。
結び
正直に言って、最初のセダンだったセフィーロは、現代の目で見れば走りのポテンシャルとしてはいまいちな部分もありました。しかし、あの時代に放っていたモダンな空気感と、青みがかったシルバーの冷徹な輝きは、私の記憶に深く刻まれています。
それから年月を経て、様々なパッケージのクルマを巡り、回り回って現代最高峰のグランドツアラーであるパナメーラGTSに辿り着きました。そのパナメーラに、かつてのセフィーロと同じ「かすかに青みを帯びた硬質なシルバー」を纏わせていることに、私は不思議な縁を感じずにはいられません。
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