タイカンCTか、未来のE-SHIFTか?……そんな迷宮で営業氏が放った「まさかのカウンター」

現行型の店頭在庫タイカン・クロスツーリスモを即納で手に入れ、EVならではの超フラットな世界へ今すぐ飛び込むか。

それとも、発表されたばかりの「嘘のタコメーターと擬似レブリミッター(E-SHIFT)」という最新の変態ガジェットを積んだ2027年モデルを待つべきか。

そんな葛藤を抱えながら、私はディーラーへと足を運び、担当の営業氏にこう切り出しました。

「今日発表されたタイカンのE-SHIFT、知ってます? あれ面白そうですよね」

本国のサイトや海外のニュースで今朝見つけたばかりの新情報。日本の現場はどう捉えているのか、生の声を聞くつもりでした。ところが、返ってきたのはまさかの答え。

「えっ……何ですかそれ? まだ聞いてないです」

どうやら本国からの情報が降りてくるタイムラグがあるようで、営業氏、まだその存在を知らないという展開。最新テクノロジーへのアンテナの高さだけは、完全にプロを上回ってしまったようです。

しかし、そこは百戦錬磨のポルシェの営業氏。一瞬のハテナの後に、すかさずとんでもないカウンターを繰り出してきました。

「タイカンの擬似変速ですか。なるほど……。あ、お客様、それなら『本物のギア』が付いたあちらの新型パナメーラ E-ハイブリッドに、ちょっと乗ってみるだけでもいかがですか?」

──完全に眼中になかったそのクルマを勧められるがまま、私は試乗車のシートに滑り込むことになったのです。

■ 完全に盲点だった。ここには「本物」が全部ある

最新の第3世代となった『パナメーラ 4 E-ハイブリッド』のシステムを起動し、ポルシェセンターを出てアクセルを少し踏み込んだ瞬間、私は自分の視野の狭さを猛烈に恥じることになりました。

「……待てよ。私が求めていたものは、すべて最初からここにあるじゃないか」

タイカンのE-SHIFT情報に踊らされすぎて、私は完全に思考がバグっていたのです。「EVのシームレスな加速に、後付けのギミックで変速ショックとリズムを与える」というテクノロジーに目を奪われていたけれど、このパナメーラには、最初から「本物のV6ツインターボ」と「本物の8速PDK」が載っている。

PHEVですから、バッテリーが満タンなら日常の街乗りは完全に「無音・無振動の電気自動車(E-Mode)」です。タイカンCTで味わおうとしていたあの未来の静粛性は、パナメーラでも日常の大部分で手に入ってしまう。

そして、ひとたびドライブモードを「Sport」に切り替えた瞬間。 モーターの強烈なゼロ発進の直後と本物のエンジンのリニアな連携で、怒涛のシステム出力(470馬力!)が解き放たれる。ステアリングのパドルを弾けば、ソフトウェアが作ったバーチャルなショックではなく、ポルシェ伝統のPDKが、目にも留らぬ速さで「本物のギア」をガチッと繋いでいく。

E-SHIFTという「最新の美しい嘘」にときめいていた私に、パナメーラは「最新の電気と、最高峰の本物」を両方持って、強烈なカウンターを喰らわせてきたわけです。

■ さあ、どうする?(完全迷宮編)

「タイカンCTの店頭在庫(今すぐ100%EV)」 「2027年モデルのタイカン(未来の擬似ギアEV)」

この2択を営業氏にぶつけたはずなのに、気づけば「パナメーラE-ハイブリッド(電気もエンジンも、本物のギアも全部盛り)」という第3の選択肢がゴール前に突っ込んできました。

エステートとしてのタイカンCTのパッケージングはやはり魅力的ですが、パナメーラが醸し出す「ラグジュアリー・サルーン」の重厚なオーラと、最新コクピットの洗練度も捨てがたい。さらにE-ハイブリッドなら、あのフラットライドを極めた「ポルシェ・アクティブライド」まで選べる。

EVという完全な未来へ一歩を踏み出すべきなのか。 それとも、内燃機関の官能と電気のイイトコ取りをした、成熟のPHEVに身を委ねるべきなのか。

新技術を教えてあげたつもりが、気づけば鮮やかな提案で見積書を差し出されている。ポルシェの営業氏、さすがのプロ仕事です。

タイカンの記事を書くつもりが、まさかのパナメーラ大逆転の兆し。 私の脳内コンフィギュレーター、いよいよ今夜、完全にシャットダウンしそうです。

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