慣らし運転と4月の風。M4カブリオレが「染みて」いく感覚

 こぼしてしまったコーヒーを白いハンカチで拭き取る。当然、拭き取ることなどできず、ハンカチはどんどんコーヒー色に染まっていく。今、私の中でこの車がもたらしている感覚は、まさにこの「染みて」離れない状態です。単に気に入っているという以上に、この車が持つ情報量が自分の中に深く浸透しています。

この日は雨曇り。けど、幌とは思えないほど見事なルーフのラインと剛性感。開けても閉じても、自分の中に「染みて」くる満足感は変わりません。

慣らし運転で分かる精度の高さ

現在はまだ慣らし運転の期間中であり、エンジンの回転数を抑えて走行しています。しかし、その制限された状態でも、エンジンの素性の良さは明確に伝わってきます。

特に印象的なのが、回転が上がる際のスムーズさです。摩擦を感じさせず、精密な機械が完璧に同期して回っているような感触があります。低回転域から淀みなく、かつ雑味のないトルクが湧き出る感覚は非常に質が高く、普通に流しているだけでもその造り込みの深さを実感します。

たかだか2,000から3,000回転の間であってもレスポンスは鋭く、そこからパワーとトルクが溢れ出してくる様子を見ると、今後の慣らし明けが本当に楽しみになります。電気モーターにも似た即応性がありながらも、その先でエンジンならではの爆発を感じさせる特性は、この車独自の濃厚な味付けと言えます。

五感で受け取る「音・光・風」と、4月の多幸感

この時期は、乗り込むとまずルーフを開けます。この4月という季節も、今の満足感における最大の味方かもしれません。

振り返れば、2025年11月納車のM2、2026年1月納車のA110、そして3月のまだ寒さが残る頃に納車されたロードスター。それらも素晴らしい車でしたが、この4月の柔らかな空気の中で味わう開放感には、過去の冬の納車では得られなかった独特の多幸感があります。

ルーフという遮蔽物がないため、エンジンの鼓動や排気音がダイレクトに耳に届き、春の日差しが車内を移ろっていく。室内を通り抜けていく適度な風が、仕事で張り詰めた心をしなやかに解きほぐしてくれます。こうした「音・光・風」が一体となった感覚は、オープンモデル、そしてこの季節ならではの贅沢です。

週末、いつもの道で感じる幸せ

目的地に着き、車を降りた後もその余韻はなかなか消えません。ステアリングを通した手応えや、先ほどまで感じていた滑らかな加速の感触が、自分の中にしっかりと居座り続けています。

週末、平日は仕事で何気なく通っているいつもの通勤路を、あえて屋根を開けて走ってみる。ただそれだけのことが、これほどまでに心を充足させてくれるとは思いませんでした。

生地に染み込んだ染料の色が定着して消えないように、M4カブリオレでの体験は自分の中に確かな「色彩」を残しています。この濃厚な満足感と一緒に、しばらくは慣らしの距離を伸ばしていくつもりです。


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